日本のテック職に日本語は必要?
海外から日本の開発職を目指す新卒・経験の浅い方にとっての日本語の重要性と、面接で大学や個人のプロジェクトを説明する練習方法。
調査に基づく翻訳ドラフト
短く答えるなら、厳密には「いいえ」です。日本のすべてのテック職で日本語が必須というわけではありません。ただし、それだけでは全体像が見えません。経験年数、専門分野、会社やチームの種類、どこから応募するかなど、多くの要素が関係します。
私自身の経験では、日本語を話せることは非常に大きな強みです。新卒の方なら、技術力を伸ばしながら、学んだことや作ったものを説明する練習も進めることを勧めます。日本語はその力を伝えるためのもので、技術力の代わりになるわけではありません。
この記事ではソフトウェア開発職を扱い、特に海外から応募する新卒や実務経験の浅い方を想定しています。すでに日本に住んでいる場合も、職種ごとの言語要件を確認することは大切です。以下の求人数と個別求人の例は2026年8月25日時点の情報です。応募前に最新の募集内容を確認してください。
この問いを考えるための資料を紹介し、最後に私自身の考えを述べます。
経験が浅い場合、私ならここから始めます
私なら、求人が自分の経験段階に合っているか、現在住んでいる場所から応募できるか、選考と配属先でどの言語を使うかを一緒に確認します。日本語不要のシニア求人があっても、新卒向けの採用ルートがあるとは限りません。また、簡単な日本語の会話ができるだけで、企業の要件を満たすと判断することもできません。
準備として、大学の課題、個人開発、研究、インターン経験から、自分が正直に説明できるものを一つ選びましょう。目的、自分の担当、難しかった点、動作や成果をどう確かめたか、学んだことを話す練習をします。適した新卒求人、インターン、ジュニア職を探しながら、具体的な会話の課題に取り組めます。
海外からの開発職への応募ガイドでは、こうしたルートと応募条件の確認方法を説明しています。以下の資料は、その準備の中で日本語がどう関わるかを考える材料になります。
キャリタスの2025年企業調査
外国人留学生・高度外国人材の採用調査は、英語中心の求人サイトとは異なる側面を示します。2025年12月に大手企業487社を調査し、高度外国人材の雇用実績または予定がある企業を分析しました。
理系留学生の採用では、選考時にビジネス上級以上の日本語を求める企業が33.0%、入社後に期待する企業が63.1%でした。文理を通じ、87.7%の企業が面接をすべて日本語で行うと回答しています。
- 48.4%は、希望する日本語コミュニケーション力を持つ人材の確保が難しいと回答しました。
- 58.4%は、採用後の社内日本語コミュニケーション不足を課題に挙げました。
- 35.3%は、顧客との日本語コミュニケーションを課題に挙げました。
日本語が広い企業市場で重要な採用・業務上のフィルターであることが分かります。
ただし、大手企業と留学生採用が中心で、テック企業だけの調査ではありません。英語中心のスタートアップへ応募する経験者に、そのまま当てはめる数字ではありません。
JASSOの外国人留学生向け就活ガイド
日本学生支援機構(JASSO)の外国人留学生のための就活ガイド2027は、日本の新卒採用を目指す留学生向けです。
キャリタスの2024年12月調査を用い、理系の候補者に対して54.0%の企業がコミュニケーション能力、52.2%が日本語能力、37.2%が専門知識を求めたと紹介しています。専門知識よりも、コミュニケーションや日本語を選んだ企業が多かったという比較です。
主な対象は、日本に留学し、従来の新卒採用に参加する学生です。海外の大学を卒業して応募する方にも参考になりますが、学年に沿った日程、日本国内の支援や手続きをそのまま当てはめることはできません。企業ごとに応募条件、面接言語、入社日を確認してください。この比較は、技術知識が不要という意味でも、すべての新卒求人に同じ日本語レベルが必要という意味でもありません。
TokyoDev Developer Survey 2025
TokyoDev Developer Survey 2025 は、日本で暮らし働く海外出身のソフトウェア開発者を対象としているため、この問いに直接関係する資料です。
職場での日本語使用について回答した920人のうち、222人は仕事で日本語をまったく使わず、229人はほとんど使わないと答えました。日本語をまったく使わない人の40%は、日本に本社がある企業で働いていました。つまり、日本にある企業でも、担当業務では日本語を使わずに働ける場合があります。現職に関する結果
英語を常に使う回答者の総報酬中央値は1,050万円で、英語をまったく使わない回答者は550万円でした。ただし前者の実務経験中央値は8年、後者は4年です。経験、雇用主、国際採用が混在するため、「英語だから給与が高い」とは結論できません。
TokyoDev自身も、日本語不要でジュニア向けの求人は非常に少ないと説明しています。経験が日本語不足を補うことはあっても、経験も日本語もない候補者の選択肢はかなり狭くなります。また、回答者はTokyoDev、Reddit、LinkedIn、Discordなどを通じて集められているため、この調査は日本のテック市場全体ではなく、国際的な開発者層を理解する資料です。調査メタデータ
次の行動として、私なら新卒採用、インターン、ジュニア求人を分けて調べ、日本語と技術面の準備を並行して進めます。
TokyoDevの現在の求人
英語話者向けのTokyoDev求人サイトには、2026年8月25日時点で148件の求人があり、「日本語不要」フィルターでは79件が表示されました。バックエンド、フロントエンド、セキュリティ、インフラ、SRE、データ、AI、QA、エンジニアリング管理などが含まれます。
一方で、基礎、日常会話、ビジネス、流暢な日本語を求める求人もあり、同じ企業でも職種によって条件が違います。日本語要件は会社全体より、チームと責任に付くことが多いという例です。
これは「日本語不要市場が実在する」証拠ですが、日本の全テック求人の約半分が日本語不要という意味ではありません。TokyoDevは国際的な開発者に合う求人を選んでおり、全国市場の代表標本ではないからです。
Money Forwardの英語化した開発組織
Money Forwardの国際採用ページは、日本企業がエンジニアの日本語要件を意図的に下げた例です。2021年に開発組織の英語化を開始し、求人票に日本語要件の記載がなければ日本語は不要と説明しています。日本語学習、通訳・翻訳、在留資格、移住も支援しています。
Talent Forward Strategy 2025では開発組織の公用語を英語とし、日本語は要件ではないとしています。現在の採用ページでは、海外開発拠点を含めエンジニアの52%が日本人以外だとしています。
これは可能性を示す強い企業例ですが、すべての日本企業の標準ではありません。英語研修、通訳、翻訳、国際採用支援、共通のコミュニケーション基盤への投資があって成立しています。
Mercariの職種別言語方針
Mercariの言語方針では全社共通の公用語を一つに決めず、日本語と英語を使い、必要水準を職種と業務で決めています。混在チーム向けに語学教育、通訳、翻訳も提供します。
エンジニア採用案内では英語でも日本語でも応募できますが、チームや職種によって特定言語が必要になる場合があります。能力は証明書だけでなく仕事で表現され、CEFR B2なら専門分野の複雑な情報交換や複数人の議論への参加、C1なら専門外の抽象的な話題も扱う想定です。
つまり「日本語必須」の意味は仕事によって違います。短い進捗報告だけでよい人もいれば、要件交渉、障害対応、日本語話者の管理、顧客説明まで必要な人もいます。
U-NEXTとGLOBISの現在の求人
U-NEXTのエンジニア求人には、おおむねJLPT N2以上のビジネス日本語を求めるシニア職や、JLPT N1相当を求める基幹システムのサーバーサイド職があります。
GLOBISのテクノロジー求人には、ネイティブまたはJLPT N1相当の日本語を求めるEdTech QA職があります。日本企業研修事業のシステムを支え、事業部門や開発関係者との調整が必要です。
個別求人は市場統計ではありませんが、コードを英語で書けても、要件、仕様、利用者、事業部、サポート、顧客が日本語なら日本語が必要になる理由を示します。
JLPT公式説明
JLPT公式説明によると、試験は言語知識、読解、聴解を測定し、話す力や書く力を直接測定するものではありません。点数や合否だけで、実生活で日本語を使って何ができるかをすべて説明することはできません。
資格と面接での会話は、異なる面を示します。求人に資格要件が明記されていればそれを確認しつつ、自分のプロジェクトを説明し、追加質問に答える練習も進めましょう。JLPTの級が会話力を証明するとは限らず、会話練習が企業の正式な資格要件に代わるわけでもありません。
取得した級があればそれを示し、現在できることを正直に伝えるとよいでしょう。例えば、次のような説明です。
- 「JLPT N2。準備した大学のプロジェクト説明はできますが、予想外の追加質問にはもっと練習が必要です。」
- 「JLPTは未受験です。簡単な会話や個人開発の説明はできますが、技術用語にはサポートが必要です。」
- 「インターンで自分が担当したことを日本語で説明でき、質問が分からないときは聞き返せます。」
これらは説明例です。自分に当てはまらない内容を応募書類に書かないでください。「何を作りましたか」「どの部分を担当しましたか」「改善するなら何を変えますか」に原稿を読まずに答えてみると、具体的な練習目標を見つけやすくなります。
JETROの外国人IT人材向け案内
JETROの在留資格案内は、企業の言語要件と入管上の要件を分けて考える助けになります。
外国人IT人材が一般的に用いる在留資格は技術・人文知識・国際業務です。JETROは、関連する学歴または実務経験、職務内容、日本人と同等以上の報酬などを主要条件として挙げていますが、IT人材の一般要件として日本語力は挙げていません。
つまり日本語は雇用主が求めても、一般的なIT就労資格そのものの要件とは限りません。一方、英語求人の内定だけで、申請者と職務がすべての在留要件を満たすとは証明できません。個別判断は出入国在留管理庁または資格を持つ専門家へ確認してください。
資料全体から分かること
TokyoDev、Money Forward、Mercariは、日本に英語中心の開発業務が実在することを示します。経験のあるバックエンド、インフラ、SRE、セキュリティ、データ、AIなどの専門職には、日本語不要の求人があります。
一方、キャリタス、JASSO、U-NEXT、GLOBISは、それが市場の一部にすぎないことを示します。日本語は新卒採用、国内事業、顧客対応、社内調整、多くの開発チームに深く組み込まれています。ジュニア、国内向け企業、技術と事業の境界を担う職種ほど重要になります。
JLPTは有用な目印ですが、職場コミュニケーションの完全な試験ではありません。また日本語は、一般的な専門IT在留資格の一律要件ではなくても、企業が採用要件にできます。
厳密には、日本のすべてのテック職で日本語が必要なわけではありません。しかし、日本語は応募できる仕事の数と種類を大きく広げます。その価値は、経験、専門性、対象企業、所在地、職務上のコミュニケーション責任によって変わります。
私のまとめ
日本語不要の求人があっても、特に日本で初めての開発職を目指すなら、日本語の優先度を高くすることを勧めます。技術力を伸ばすことや適した求人への応募と並行して進め、一つの準備が終わるまで他を待たせないほうがよいと私は思います。
私の経験では、言葉の壁を理由に海外採用をためらう企業もあります。日本語をしっかり使えると、質問する力、自分の考えを説明する力、チームと働く力を示しやすくなります。非常に大きな強みですが、技術要件に代わるものでも、内定を保証するものでもありません。
経験の中心が大学や個人のプロジェクトなら、そこから練習すればよいと思います。何を作り、どこを自分で担当し、何がうまくいかず、何を学んだかを説明しましょう。小さなプロジェクトを大規模な本番システムのように見せる必要はありません。私は、自分が理解していることを明確に説明してもらうほうがよいと思います。
追加質問に答えたり、分からないことを聞き返したりできるよう、話す・聞く練習に定期的に時間を使うことを勧めます。同時に、応募書類、求人情報、試験、メッセージに必要な読む・書く力も伸ばしましょう。実際の選考内容に合わせて準備し、その職種が求めるなら、試験対策と会話練習の両方に取り組むことが大切です。
面接以外でも、日本語は移住後の人間関係づくりや日常生活に役立ちます。それも、私が学習を続けることを勧める大きな理由です。まずは改善したいプロジェクト説明を一つ選び、実際の会話で練習してみてください。
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